太陽光発電など再生可能エネルギーのフィードイン・タリフ(固定価格買取制度)が7月1日に導入された。原子力の1kw時あたり発電原価が4-8円といわれる中、太陽光を1kw時あたり約42円、風力を約23円にて電力会社が買取る義務があるという制度で、発電コストを上回る分(参入企業の利潤)は何れ電気料金に転嫁される、と大前さんは指摘する。
九州電力が7月31日に発表した第1四半期決算は、純利益が▲1,009億円の赤字となり、純資産が3月末の8,881億円に対し7,728億円へと減少、自己資本比率は17.7%(3月末 19.7%)となった。九州財界の雄、ディフェンシブ銘柄の代表、泣く子も黙る九電の株価が烈しく下落しており、その背景と現状をキャッチアップする為、九電の原発6機運転状況[1]含めて四半期毎の業績を時系列で並べてみた。(ちなみに、通常は毎四半期黒字と思って差し支えない、はず。)
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2010.12.11 ①玄海3号機停止、2011.1.29 ②玄海2号機停止
【2012年3月期】(青は、差引による四半期単独)
2011.5.10 ③河内1号機停止
■第1四半期(4~6)
売上3,439億円、営業利益▲97億円
2011.9.1 ④河内2号機停止
■第2四半期(4~9) 売上7,423億円、営利▲73億円
(売上3,984億円、営利24億円)
■第3四半期(4~12) 売上10,947億円、営利▲862億円
(売上3,524億円、営利▲790億円)
2011.12.1 ⑤玄海1号機停止、2011.12.25 ⑥玄海4号機停止
■第4四半期(4~3) 売上15,081億円、営利▲1,849億円
(売上4,134億円、営利▲986億円)
【2013年3月期】
■第1四半期(4~6)
売上3,538億円、営利▲944億円
2011年12月に、玄海4号機が停止し、6機全てが停止して以来、2012年1~3で▲986億円、4~6で▲944億円の赤字となっており、見る限り大きな季節変動は見られないので、ざっくり現状では四半期毎に約▲1,000億円の赤字を出す状況と見ても間違えでは無いだろう。開示資料[2]の中でも、第1四半期の「原子力発電所運転停止による燃料費・購入電力料の影響額」が1,250億円(前年第1四半期 280億円)としている。
経済産業省原子力安全・保安院が、川内1、2号機でストレステスト(耐性調査)の最終確認のための現地調査を7月に終え、8月にも審査結果をまとめ、再稼動の判断について9月までに発足予定の原子力規制委員会に引き継ぐとのことだが、言われているように玄海と併せておそらく年内の再稼動は厳しいように見える。そうなると、費用・投資併せて▲1,200億円規模の「平成24年度 緊急経営対策」より更なる対策が必要となり、値上げは勿論、九電を主要取引先とする全国2,861社[3]、その内7割超を占めるという地元・九州の経済に少なく無い影響を及ぼすことが懸念される。
「やらせメール」問題に1年以上も費やしている場合では無いと思うのだが。そして、今の株価はどこまでを織り込んでいるのだろうか。
1.http://www.kyuden.co.jp/nuclear_operation_info.html
2.http://www.kyuden.co.jp/ir_library_presentations.html
3.http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s120702_80.html
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