ブンデスリーガ制覇の旅、1部18チーム中16番目の訪問は2009/2010シーズンにドルトムントホームで観戦して以来、常に狙ってはいたものの、なかなか土曜15時30分開催が無くこのタイミングまで行くことができなかったブンデスリーガ屈指の名門、シャルケのホームスタジアム、ヴェルティンス・アレナでのルールダービー。残念ながら、前節ドルトムントがバイエルンに勝ち、シャルケがニュルンベルクに屈してしまった為、優勝を掛けた大一番とはならなかったが、例え順位がどうであろうと、絶対に負けられない戦い、欧州屈指のダービーマッチはシャルケのホーム、人口25万人程度のゲルゼンキルヒェンの町に鬼の様に警察が配備され、例によって日頃のブンデスリーガとはちょっと違う、ピリッとした雰囲気の漂う試合となった。
このヴェルティンス・アレナは、スタジアムに名を冠するメインスポンサーである、この地方のビール会社ヴェルティンスが保有するビールタンクがスタジアムの地下にあり、そこからのビール用パイプラインがスタジアム全体に張り巡らされていることで有名。
いやー、その事実だけで、それを考え付いた輩に敬意を表するだけで、ビール何杯でもイケるが、この日飲んだビールは(スタジアムに入るまで、飲まなかったということもそれに多大なる貢献を果たしていると思うが)ドイツのビールにあまり無い感じのとっても冷えたビールで、マジで特筆すべき美味しさであった。
ヴェルティンスにヴェルティンスで乾杯!
ヴェルティンス・アレナのキャパは約6万1千人。その形は、我らがHSVのImtecアレナ(キャパ57,000人)に非常によく似ているなと感じたが、強力なのはピッチを全体から覆うシャルケサポーターの重圧感。前身、陸上競技型のパーク・スタディオン時代にそのトラック上、コーナー付近にて大太鼓をたたいて応援するサポーターの姿が有名だったというが、今もその姿を受け継ぎ、太鼓台的な場所が設けられサポーターのチャントと合わせて太鼓を叩く太鼓隊がチアリーダー的な輩と共にそこに居を構えるのが非常に物珍しい。そして特筆すべきが、ブーイングの強烈さ。この日がルールダービーだったからというのもあるだろうが、(もし、そうであれば是非バイエルン戦のノイアーに対するそれを聞いてみたいものだが)ドルトムントの選手がボールを持った瞬間からピーという単純一辺倒だが音量及び迫力満点の指笛によるブーイングがスタジアム全体を覆う。それを含めて、このスタジアムではアウェイの選手は相当やりにくいだろうなと。
ポルトが優勝した2003/2004シーズンのチャンピオンズリーグ決勝を開催した、数あるUEFAエリートスタジアムの1つである、ヴェルティンス・アレナ。試合の雰囲気含めて、秀逸。訪れるべきスタジアムの1つ。
2年前ドルトムントで見たときには、将来こうなるとは思いもしなかったが、ドルトムント1位、シャルケ3位というチーム状態での対戦そして、両チームのスタメンに内田、香川という日本人選手が名を連ねさらに、スペインの至宝ラウル・ゴンサレスがシャルケのトップ1角を占める。ルールダービーの価値上がり過ぎでしょと。2年前は、シャルケがマガトの下で長年の沈黙から勃興しつつあったが、ドルトムントは相変わらず中位に甘んじ、試合前に目の前で逮捕者が出て、物音がしたと思ったら数秒で犯人を仕留めたドイツの警察すげーとか、スタジアムの中で立ち小便したり、あらゆる所でサポーター同士が喧嘩してたりとか試合内容よりもそっちの方が印象的だったが、この日は違う。ゲーム内容含めて、さすがルールダービー、ドイツサッカーここにありと。この日のパフォーマンスそのものはイマイチだったが、そんな由緒ある舞台の中で躍動する内田と香川の姿に心から凄いなと感嘆した。ふたりともマジ凄すぎ。
帰りのゲルゼンキルヒェン中央駅。ドルトムント方面の電車が出るホームへ上る階段を中心として、シャルケサポーターが両サイドからドルトムントを揶揄するチャントの大熱唱。目の前にズラッと並ぶ警察が何らかのきっかけで何かスプレーのようなものを捲き、横で傍観していた自分も少しおこぼれを頂いたが、線路を挟んでホーム同士で何かを言い合っている喧嘩の体(てい)を擁するサポーターも見受けられ、何故彼らがそこまで熱くなれるのか理解し難い正直滑稽な、期待していたダービー特有の光景を今回も味合うことが出来、試合そのものと合わせて来て良かったなぁと十二分に満足して、この日お隣の強豪ハノーヴァーから久しぶりにホームで勝点3を得たハンブルクに戻り着いた。
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