今月号の特集は、"脱日本"、現象の危機!
「戦略なき日本!観光立国は夢のまた夢」という記事が、プレジデント誌に上げられている。(記事そのものは、こちら)
「観光立国の実現」は、昨年6月に閣議決定した政府の新成長戦略のスローガンの一つ。2010年に日本を訪れた外国人の数は約860万人。これを10年後の20年初めまでに2,500万人、将来的には3,000万人にまで増やそうという目標を掲げている。観光庁の「観光立国」を紹介したサイトに、3,000万人へのロードマップが掲載されているが、デカデカと「世界経済や為替が安定していること、戦争や疫病の流行が発生しないこと等を前提とする」と書かれており、誰がどう考えても既にその前提が崩壊していると思うのだが、それはさておき。
大前さんは、減価償却費を含む自動車の維持費は年間60~100万円近くかかるが、欧米のそこそこ充足した生活をしている層は年間で旅行に100万円くらいはかける、よって世界的に見れば、「ディスティネーションツーリズム」、滞在型旅行業は自動車産業よりも市場規模が大きいとし、その特徴を忙しく駆け回る観光旅行ではなく、1ヵ所に長期滞在する"滞在型"としている。大前さんの言い様も全く過言では無い。
法律の細かいところまでキャッチアップできていないが、ここドイツを例に取ると、サラリーマンや労働者は、法律によって年間30日の有給休暇を完全に消化することができる。しかも、残業時間が貯まった場合には、代休を取ることを認めている企業が多いので、有給休暇と合わせて40日程度の休みがある人も珍しくない。そして、上司は部下が有給休暇を全て取るように積極的に奨励しなければならないらしい。というか、それなりの役職に付いた人はそれこそバカンスの達人みたいな輩ばかりなので、日本のような休暇を取りにくい雰囲気というのは一切存在しない。(本当にみんな30日全部取る。)良く言われるが、彼らは年の始め(いつか知らないが)に、休暇を含めた1年間の旅行の予定を決め、飛行機やホテルを押さえてしまう。基本的に、そういったものは早く押さえた方が安いのでとても理に適った行動だが、やべぇ、もうすぐ休みだ、どこに行こうか?などと言っている日本人とは根本的に発想が異なる。だいたい夏のバカンスシーズンは、3週間程度休んで、その他1、2週間休みを何度か取る感じ。(日本のように、週中に1日とかちまちました取り方で無いところが重要。)
国民1人あたりのGDPがドイツと日本は、ほぼイコールな状況で、どちらが良いのか個人的には疑う余地も無いと思うのだが、ここら辺のいわゆるワーク・ライフ・バランスに対する考え方は、こちらで生活してみて明らかに変わった。変わらない方がおかしい。過去、欧米に追い付け追い越せとそれこそ馬車馬のように働いてきたことが今の日本の礎となっていること間違い無いが、確実に見直すべきフェーズに来ているし、そうしないと人生もったいないと思うのだ。
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