そろそろ反撃してもいいですか?
東横線で目の当たりにした印象的なコピー。どこの広告かと疑問に思ったが、まさかのドコモ。「赤」を使ってのこのメッセージにたまたま一緒にいた会社の同期も思わず、「やめて。」
彼に聞くと、「2in1」という1つの携帯で番号が2つ持てるサービスを主として様々なサービスを盛り込むらしい。妻夫木がauからふつうに寝返っているのが驚きだが、その他にも浅野忠信、長瀬智也、瑛太、吹石一恵、土屋アンナ、蒼井優、北川景子と資金力にモノを言わせたTSUBAKIばりのCMとその刺激的なコピーにいろんな意味でドコモすげぇなと改めて思う。「DoCoMo2.0」と銘打たれているが、何を指しているのか定かではない。ま、何でもいいのだろう笑 端末を作っている会社の一兵卒として、「番号2つ持てたら、携帯2ついらないじゃないか・・・」と単純に思ってしまった。
かつては、1999年の295百万円から2003年の886億へと画像データや文字データの伝送、いわゆる「iモード」による売上を伸ばし、市場のパイそのものを著しく拡大させ「ブルー・オーシャン戦略」の代表例としても挙げられたドコモ。大前研一氏に以下、「レッド・オーシャン」であると徹底的に叩かれました。
ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する | |
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リンク: 大前研一「ニュースの視点」WEB:KON162 トヨタの“謙虚さ”とDoCoMoの“傲慢さ”から見える経営の本質.
さらに、まずいことにドコモの経営陣は、このタイミングで経営者としては絶対にやってはいけないマーケティング上の重大なミスを犯しました。それは今、ドコモが大々的に広告している「ドコモ2.0」という広告です。『そろそろ反撃してもいいですか?』のキャッチコピーを見て分かるように、この戦略は完全に同業他社に反発し、それを打ち負かすことだけを考えたものです。こういった考え方を、経営学では、「コンペティティブ・リタリエーション(競合反発)」と呼び、経営者が選んではいけない戦略の1つになっています。なぜなら、この考え方は、業界収益をなくし、自分も相手も血だらけになるだけという結果をもたらすからです。ドコモにしたところで、例外ではないでしょう。確かに、値引き合戦に持ち込んで、資金による体力勝負になれば、ドコモが勝ち、ソフトバンクが負けるのは自明です。しかし、「反撃しても、いいですか?」などという挑戦的なキャッチコピーを見れば、消費者は「値下げするのかな?」と思います。結果、消費者の買い控えを引き起こす可能性があります。つまり、大々的な広告は打ったが、買う人はいなかったという最悪の結果につながる危険性が高いと私は思います。ドコモが採るべき正しい道は、新しいサービスの開発や今とは違う土俵を、他社に悟られることなく、作ってしまうことだったのです。競合反発など、最悪の選択だと言わざるを得ません。もし私がドコモの社長なら、今回の広告を作った人を解雇するでしょう。それくらい、これは経営の基本に背いた大きな過失だと思います。事業のタイミングによっは、経営がよくわかっていなくても、企業が大きく成長することはあります。しかし、それを継続することはできません。
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