争うは本意ならねど ドーピング冤罪を晴らした我那覇和樹と彼を支えた人々の美らゴール
木村 元彦
第165条〔最終的拘束力〕
チェアマンの下す決定はJリーグにおいて最終のものであり、当事者およびJリーグに所属するすべての団体および個人はこれに拘束され、チェアマンの決定を不服として裁判所その他の第三者に訴えることはできない。
Jリーグ規約[1]の末尾近く、第12章に最終的拘束力として定められているいわゆる独裁規約の一文。恥ずかしながら、今までその存在を知らなかった。Jリーグ発足当初の不条理な外圧を跳ね返すためのものであったらしいが、それにしても凄まじい条文だなと。
「オシムの言葉」「誇り」「悪者見参」などの著書で知られる木村元彦さんが、FC琉球、我那覇選手のドーピング冤罪事件について取り扱った1冊。事件の発端が、当日非番の記者の代理の記者が出稿した、事実と異なる記事であることに愕然とした。浦和がACLを獲った1997年当時、自分もマスコミの報道を通してしか情報を入れることができておらず、こんなことがあったのか!と正しく驚愕ざるを得ない内容だったが、マスコミの報道云々はひとまず置いておき、報道が必ずしも正しい訳では無いという共通理解が日本には本当に必要だなというのが率直な1番の感想。当時のJリーグ上層部や川崎に組織の非常に嫌な部分が露呈する。そのような、理不尽としか言い様が無い状況下、当事者である我那覇選手は勿論、Jリーグのチームドクターやサポーターの1人1人が取られた行動やその姿には感服せざるを得ない。そして、著者である木村さんの姿勢は流石。
◎ご参考
【特別対談前編】完全なる冤罪、我那覇和樹のドーピング事件とは何だったのか?[2]
【特別対談後編】潔白だった我那覇、病状口外を望まなかったオシム-総括と反省なきJリーグ[3]
1.http://www.j-league.or.jp/aboutj/2011pdf/04.pdf
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