名著です。
為替相場は、国力を映す鏡ではない。単なる通貨と通貨の交換レートである。
本書にも書かれているが、今まで、「為替相場はよくわからない」「為替相場は予測不可能」で、中長期的には「日本は国力が弱いから長期的には円安」という考えをベースに行動していたのだが、恥ずかしながら、この考え方は根本的に間違っていたようである。
・為替は需給関係(貿易や資本のフロー)で決まり、長期的にはインフレ率の差で決まる。
というのが本書を読んで、自分なりに一言でまとめたものだが、為替相場については、貿易や投資を通して、誰が円を必要としているのか(あるいは必要としていないか)を考えることが大切だなと。そして、日本は変動相場制を採用して資本規制がない国としては(簡単に言うと、中国を除けば)世界最大の経常黒字国であり、常に儲け分のお金が円買い方向に流れている状況にある。
本書の著者は、JPモルガンの為替ストラテジストで、かつては日銀で為替介入の実務も担当されており、評論家的なつまらない本とは違って非常に面白い。「投機的な」取引規制について書かれている下記の文章が好きだったので、備忘録的に。
マーケットに関して中途半端な知識しかない当局者が中途半端な規制を導入するのは、事態を悪化させるだけである。
本当に市場の安定を求めているのであれば、できるだけ多くの市場参加者に門戸を開くべきなのだ。
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